年齢制限を行う場合の具体例

(雇用対策法施行規則 第1条の3 第1項)
 
1号 定年年齢を上限として、当該上限年齢未満の労働者を期間の定
めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

期間の定めのない労働契約については、定年年齢を上限として年齢制限をすることが認められます。
【認められる場合(例)】
 
「60歳未満の方を募集(定年が60歳)」
ただし、以下のような場合は年齢制限は認められません。
 
■有期労働契約である場合
×「60歳未満の方を募集(契約期間6ヶ月)」
■上限年齢と定年年齢が一致していない場合
×「60歳未満の方を募集(定年が63歳)」
■下限年齢を付している場合
×「40歳以上60歳未満の方を募集(定年が60歳)」
■業務の習熟に一定期間が必要であることを理由に、上限年齢を下げている場合
×「□□業務の習熟に2年間必要なため、58歳以下の方を募集(定年が60歳)
→上限年齢を60歳未満とした上で、「□□業務の習熟に2年間必要である」旨を求人に明示して
ください。

2号 労働基準法等法令の規定により年齢制限が設けられている場合

労働基準法等の法令において、特定の年齢層の就業が禁止・制限されている業務については、年齢制限をすることが認められます。
【認められる場合(例)】
 
「18歳以上の方を募集(労働基準法第62条の危険有害業務)」
「18歳以上の方を募集(警備業法第14条の警備業務)」

3号のイ 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を
間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

長期勤続によるキャリア形成の観点から、新規学卒者等をはじめとした若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合には、上限年齢を定めることが認められます。

ただし、@対象者の職業経験について不問とすること
A新規学卒者以外の者にあっては、新規学卒者と同等の処遇であること
という要件を満たす必要があります。
※ 「同等の処遇」とは、新卒者と同様の訓練・育成体制、配置・処遇をもって育成しようとしている場
合を指すものであり、賃金等が新卒者と完全に一致しなければならない趣旨ではありません。
【認められる場合(例)】
 
「35歳未満の方を募集(職務経験不問)」
「40歳未満の方を募集(簿記2級以上)」
(必要な免許資格を定めていても、実務経験を有する資格でなければ認められる)
※ 「若年者等」とは、必ずしも35歳未満に限られるものではありません。
ただし、以下のような場合は年齢制限は認められません。
 
■有期労働契約である場合
×「35歳未満の方を募集(契約期間6ヶ月)」
■職務経験を付している場合
×「40歳未満の方を募集(□□業務の経験のある方)」
■下限年齢を付している場合
×「20歳以上35歳未満の方を募集」

3号のロ 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働
者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間
の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種(※1)特定の年齢層(※2)において労働者数が
当程度少ない(※3)場合には、この特定の年齢層に限定して募集・採用することが認められます。(ただし、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合に限ります。)

※1 「特定の職種」については、技能・ノウハウの継承が必要となる具体的な職種(注)の名称を用い
てください。

(注)厚生労働省『職業分類』の小分類若しくは細分類又は総務省『職業分類』の小分類を参考にして
ください。
例:機械・電気技術者(中分類)における電気通信技術者(小分類)、農林水産業・食品技術者
(中分類)における水産技術者(小分類)、家庭生活支援サービス職業従事者(中分類)にお
けるホームヘルパー(小分類)など

※2 「特定の年齢層」は、30歳〜49歳のうちの特定の5〜10歳幅の年齢層としてください。

※3 「相当程度少ない」場合には、同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して労働者数が1/2以下であ
る場合(下図を参照)が該当します。
「相当程度少ない」かどうかを判断するに当たっては、企業単位で判断することが原則となります
が、人事管理制度上、一部の事業所で採用などの雇用管理を行っている場合には、一部の事業
所を単位として判断とすることも認められます。
【認められる場合(例)】
 
「□□社の電気通信技術者として30〜39歳の方を募集
(□□社の電気通信技術者は、20〜29歳が10人、30〜39歳が2人、
40〜49歳が8人)」
ただし、以下のような場合は年齢制限は認められません。
 
■「30歳から49歳」の範囲に収まっていない場合
×「□□社の電気通信技術者として25〜34歳の方を募集」
■年齢幅が「5〜10歳」を超えている場合
×「□□社の電気通信技術者として35〜49歳の方を募集」
■同じ年齢幅の上下の年齢層と比較して1/2以下となっていない場合
×「□□社の電気通信技術者として30〜39歳の方を募集
(□□社の電気通信技術者は、20〜29歳が30人、30〜39歳が15人、40〜49歳が25人)」

3号のハ 芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある
場合

芸術作品のモデルや、演劇等の役者の募集・採用において、表現の真実性等のために、特定の年齢層の労働者に限定して募集・採用することが認められます。
【認められる場合(例)】
 
「演劇の子役のため、□歳以下の方を募集」
ただし、以下のような場合は年齢制限は認められません。
 
■単に、特定の年齢層を対象とした商品やサービスの提供等が目的であり、芸術・芸能の分野に該当
しない場合
×「イベントコンパニオンとして、30歳以下の方を募集」

3号のニ 60歳以上の高年齢者又は特定の年齢層の雇用を促進する
施策(国の施策を活用しようとする場合に限る。)の対象とな
る者に限定して募集・採用する場合

60歳以上の高年齢者に限定して募集・採用する場合には、年齢制限をすることが認められます。
また、特定の年齢層の雇用を促進する国の施策(雇入れ助成金等)を活用するため、その施策の対象となる特定の年齢層に限定して募集・採用する場合には、年齢制限をすることが認められます。
【認められる場合(例)】
 
「60歳以上の方を募集」
(中高年齢者トライアル雇用の対象として)「45歳以上65歳未満
の方を募集」
(若年者トライアル雇用の対象として)「35歳未満の方を募集」
ただし、以下のような場合は年齢制限は認められません
 
■60歳以上の高年齢者を募集・採用する際に上限年齢を付している場合
×「60歳以上70歳未満の方を募集」
■募集・採用する年齢層を国の施策の対象となる特定の年齢層よりも限定している場合
×(中高年齢者トライアル雇用の対象として)「45歳以上60歳未満の方を募集」